阿 品 ア カ デ ミ ー   

 

 

 

 

        会     報

 

 

 

 

          VOL.  12

       (平成24年9~平成25年8月)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         平成25年91

 

 

 

 

 

     阿品アカデミー 会報  VOL.12

 

           目   次

 

  御挨拶   会長  山下彰一      

 

1. 平成2年度  学習記録       

 

2.    平成2年度 講師一覧        11

 

3.    会員の単位取得状況         11

 

4.    平成2年度卒業証書授与者      12

 

5.    会計報告              12

 

6.    あとがき              13

 

 附) 阿品アカデミー会則(平成1491日改正)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           御 挨 拶 

                  会長 山下彰一

『日本は、国際競争の枠外に、外されている。』

 

 7月初め、韓国チェジュ島で行われた、「大統領召集の新地域発展戦略会議」

PCRD)という4日間缶詰めの会議に出てきました。すべて先方のご招待でしたが、議論の内容は、韓国の地方経済の発展のための新戦略に関わるもので、韓国政府の意気込みの程を、たっぷりと体感してきました。

 何よりも印象深かったことは、中央政府が、“地方の発展”の役割を重視し、「地方の発展こそが、韓国経済を支える」、という認識を前面に出していたことです。これまでの地方の開発は、日本と同じく、市役所など、地方の役所に任せ、限られた地域の土木事業などで済まされてきました。しかし、これからは、「地方の発展こそが国の発展を支える」との考えに基づき、地方に主体性を持たせ、中央政府がこれを積極的に支援し、一体となって国土の形成に当る

いまや、こうした考え方が、韓国全土に行き渡り、浸透しつつある、という印象です。

 

現状認識として、いまは、世界全体が動き、あらゆる場面で構造改革が進んでいる、と見るべきです。各国とも、変革の先頭集団に残るか、そこからずっこけてしまうか、こうした国際競争のまっただ中にいる、と考えて置かなければなりません。

 

日本はどうか。私には、日本は、まだ惰眠をむさぼっている、としか見えません。韓国だけでなく、中国も、インドも、東南アジア各国でも、昔のような‘おっとりとした会話’は、もはや聞こえて来ません。いまは、中央省庁の大改革を先頭に、企業も変わり、個人もその行動基準を変えつつあります。

韓国で、すでに変わったところは、例えば、日本の通産省(MITI)を考えてみましょう。日本では、この呼び名はかなり前から使われていて、今も変わっていません。実は、韓国にも同じ名前の省庁がありました。しかし、今回訪韓して、名刺を交換してみると、

            ‐1−

以前の通産省名は無くなっていて、いまや、Ministry of Knowledge Industry(知識産業省)に代わっているのです。どのような省庁に変わったか、想像できますか。(1)

 

世界の各国は、地域化(Localization)と世界化(Globalization)を同時に推進しようとしています。流れとして、その役割を地方が担う時代になろうとしています。韓国政府は、地域の発展を、地方政府に任せ切りにするのではなく、「各地域を、発展の主役と位置づけ」、各地域に主体性を持たせ、住民を各地域で動員し、発展の主役の座を地域に譲ろうとしています。中央政府は、これを全面的に支援し、住民や地域の役割を前面に出し、トータルとして、これまで以上の成果を挙げようとしています。

 

ひるがえって、日本の地方経済の実態を観察してみると、中央の首都圏や関西、東海の3極を除けば、どこも沈滞ムードが漂っています。地方は、高齢化が進み、学卒者の就職先も無く、昔のような活気がありません。これは、地方の責任なのでしょうか、地方の努力不足がそうさせているのでしょうか。

私には、そうは思えません。中央政府がやるべきことは沢山あり、地域の住民にもこれに協力して、共に豊かな社会を再構築する意思と行動力はあるはずです。現在は、まだ誰もが言い出さないことが問題です。あるいはその方向が見えないのかもしれません。

前段の韓国の例は、日本社会が前例とし参考にすべき方向のいくつかが、これに含まれていると思われます。中央政府にその知恵がなければ、地方の特定地域において、その試みを開始する、勇気あるグループが生まれる事を願わざるを得ません。

 

 

 

 

 

 

 

 

           −2―

阿品アカデミー  学習記録

平成24年度

1.    講演会

     低炭素社会を設計する国際環境リーダーの育成

     生命科学と国

2.    国際理解講座

    チリ雑学

大連の街角から見た中国

3.    歴史講座

    日本史を海から洗う

    アメリカ合衆国の誕生まで

4.    天文講座

5.    芸術講座

    もっと身近にシューベルト

    ゴッホ

6.    文化講座

    色に関するいろいろ

    三線にのせて沖縄を語る

    中国古典を読む会

7.    環境講座

    PM2.5について

8.    自然講座

    宮島水族館出張講座

    夢を追って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講演会

年月日

    内      容

 講 師

参加者

H24.9.2

「低炭素社会を設計する国際環境リーダーの育成」

広島大学国際協力研究科ではアジアを中心とした外国からの留学生を環境リーダーとして育成する教育をしている。

次の5つのサブプログラムを設定している

1.    温暖化社会システムの設計

2.    エネルギー高度利用

3.    環境影響評価

4.    政策立案・制度設計

5.    環境教育開発

20123月現在17カ国68名の育成対象者が各国で働いている。また、これまでに広島大学

で修士または博士号を取得した者も15カ国

51人に達している(2012.3

山下彰一会長

広島大学名誉教授

19

H24.11.30

「生命科学と国」

生命はその誕生以来、地球環境に合わせて進化し、現在は酸素を主体とした空気と水に適合した細胞組織となっている。と同時に様々な外乱や、環境の変化に対応した自衛機能(ホメオスタシス)を作り上げている。

一つの国家も組織としてみた場合同じことであり、細胞たる国民を守るために国境という皮膚があり、神経系たる政治機能や、内分泌系たる経済機能など、

三戸恵一郎氏

(倉敷芸術科学大学教授)

12

 

 

 

が清浄にはたらくためには免疫系たる防衛機能ももたねばならない。

ガン治療へのルミンの有効性ははっきりしているにもかかわらず、医学の世界では認めようとしない。丸山ワクチンも同じであり、有力者が

認めようとしないからである。

 

 

 

             

 

国際理解講座

年月日

   内       容

 講  師

参加者

H24.9.16

「チリ雑学」

1年間のチリ生活を通じて学んだこと、感じたこと。南北4000kmという国であり、気候、地理的条件も幅が広い。モアイ像で知られるイースター島もチリである。人口1700万人の大半はヨーロッパからの移住者の子孫であり、先住民系は5%である。立憲君主制のもと、主として鉱業、農業で成り立っており、経済状態は良い。

生活はし易いが問題点も多く、体制批判に基づく事件や交通事故の多さ、自然災害も地震や森林火災など多い。サンチアゴの中心部はヨーロッパの町並みと言ってよいくらい綺麗であり、地下鉄も整備され、人々は気さくであり、日常生活はまずは快適である。日本の人気も良い。

佐藤哲夫氏

シニア海外協力隊員

25

 

国際理解講座

年月日

   内       容

講  師

参加者

H24.11.24

 

「大連の街角から見た中国」 第1回

3年余りにわたる大連駐在生活の経験から大連のこと、現代中国のことなどの報告と感想。

大連は1860年以降1945までにロシアと日本がその根幹部分を形成し、今なおその時代の痕跡が随所に残っている。市民の対日感情も良い。

出向先は250名の向上であり、日本人は一人だけであるが、本社の指示のもと管理業務の主なところは一人でおこなった。

大嶋 登氏(会員)

22

H24.12.15

「大連の街角から見た中国」 第2回

中国での勤務では、残業は無く、時間に余裕が出来る。中国人たちは残業までしようとはしないし、業務の改善策などは考えない。

工程管理や品質管理に苦労する所以である。

定年はなく、やる気さえあれば生涯働ける。

中国の歴史がそうさせるのであろうが、強い絆で結ばれた者以外は信じないというところがあり、目の前の金銭や絆に強く拘るところがある。

同上

25

 

 

 

 

 

歴史講座     日本史を海から洗う

年月日

   内           容

 講  師

参加者

H24.10.20

 

「古代から平清盛と海賊たち」

日本人は元々どこかから海を渡って渡来したのであり、船を操る技術を持つ海洋民族と言えよう。神武東征神話もそれを物語っている。

7世紀には朝鮮半島にまで進軍して白村江で敗れているが170艘の船で渡っている。

その後、瀬戸内を中心に多くの水軍(海賊)が割拠し、清盛は日宋貿易に活躍し、蒙古襲来時や源平合戦など多くの場面で重要な役割をはたした。

橋本金平氏(会員)

23

H24.12.8

「蒙古襲来と水軍」

文永,弘安の役では松浦党などの地方豪族の働きと、気象現象でかろうじて国が守られたが、蒙古側も陸上では強いが海上での戦いは経験が少なく、乗ってきた軍船も波浪には弱かったことや、他民族混成軍での統率力の弱さなどが指摘できる。かといって、日本側の防戦体制も磐石とは言えない。

1216世紀には国としての統制が不十分な中、倭寇が東シナ海を跋扈した。

源平の戦いでは瀬戸内水軍が大きな役割を果たし、最終的には村上水軍を見方につけた現時の勝利に終わる。村上水軍については西原氏が詳細を担当さた。

橋本金平氏(会員)

西原嘉文氏(会員)

(村上水軍について)

24

 

H25.1.19

「朝鮮出兵、鎖国時代の海外交流」

秀吉の時代になると、水軍にも権力が及び、村上水軍も分裂するが、水軍自体は秀吉の統制下

朝鮮に出兵することになる(文禄,慶長の役)李舜臣の活躍などで秀吉は破れ、その死と共に

終戦となった。家康の時代には関係が修復され

朝鮮通信使の来訪など、平和的な水軍状態となって、多くの日本人が東南アジアなどへ渡ることになる。

橋本金平氏

23

H25.6.15

「現代の海賊と日本の対応」

ここ10年ほどは年間200500件程度発生し、日本関係船舶も1040件程度の被害にあっている。

日本の場合、中東からのオイルタンカーが中心となり、国際海峡たるマラッカ海峡やソマリア沖が最も危険である。 最近の海賊行為の要因はいろいろあるが、 マラッカ海峡の分離運行方式、便宜置船、

国連海洋法条約の不備、船舶の大型化と自動化による乗組員の減少などがあげられる。

海賊側は国際的なシンジケートを組んでいるようであり、略奪した船が短期間のうちに、国籍や船名などが変更され、積荷も国際市場で売りさばかれており、対応が非常に難しい。

同上

 

 

歴史講座     アメリカ合衆国の誕生まで

年月日

   内          容

 講  師

参加者

H25.2.23

1618世紀のヨーロッパ」

当時のヨーロッパは絶対主義の時代であって、すべて、王権最優先であり、強力な軍事力と宗教をも権力下においたものであった。その反省から一部東欧諸国には啓蒙絶対主義がとられたが、所詮は王権の安定をもとめたものであり、一般市民の不満を得るような物ではなかった。

有田嘉伸氏

長崎大学名誉教授

20

H25.3.23

「大航海時代とアメリカの登場」

そんな中、宗教的、経済的、政治的と様々な理由と、航海術の発展に支えられて、多くの国、人が特にアジアの香料を求めて航海に出た。

スペイン、オランダを筆頭に王室の保護を受けた探険家たちが世界の海に乗り出し、コロンブスのアメリカ上陸へと繫がった。1492年以降

1600年代にはアメリカにイギリスの13植民地が形成された

 

同上

21

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歴史講座     アメリカ合衆国の誕生まで

 

年月日

   内          容

講  師

参加者

H25.4.27

 

「イギリスの植民地政策」

各国は植民地を自国の利益最優先の方針で支配したが、イギリスの植民地政策は各種法令ではきびしいものの、現実には現地の自由が相当にあり、アメリカは急速に経済力をつけていった。

初期の移民は中産階級出身者が多く、知識人が沢山いて、政治的、

 

経済的自由をついきゅうした、早期に大学を創立したり、植民地ごとの法律を制定したりした。

有田嘉伸氏

長崎大学名誉教授

23

H25.5.25

「アメリカ独立革命」

アメリカの発展とともに、本国との経済的、政治的な葛藤が増え、比較的自由度のあった植民地支配に本国からの各種圧力が増し、本国の経済最優先の政策に対してアメリカ側の反発も増え、ついには武力衝突に発展した。

1775年のレキシントン・コンコードの戦いをはじめとして、独立宣言にまで至る。

同上

H25.6.22

「連合規約の時代」

同上

H25.7.20

「アメリカ合衆国憲法の制定」

同上

H25.8.17

「アメリカ独立革命史研究」

同上

H25.9.21

「アメリカの国民性と文化」

同上

 

 

 

 

 

天文講座

年月日

    内        容

 講  師

参加者

H25. 7.27

 

佐藤 健氏

東亜天文学会会員、元広島子供文化科学館職員

 

 

                

 

芸術講座

年月日

    内           容

 講  師

参加者

H24.9.16

「もっと身近にシューベルト」

即興曲op.142-2 変イ長調 の演奏の後、シューベルトの音楽の簡単な解説、CDで彼の音楽を聞きながらウイーンの町並みの紹介があった。

また、シューベルトの生涯と家族、交友関係

石津美穂氏

(ピアノ指導者)

20

H25.8.24

 

「ゴッホ」

森川紘一郎氏

元周南美術博物館館長、広島女学院講師

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

環境講座    

年月日

       内      容

 講  師

参加者

H25.5.18

PM2.5について」

今年突然にマスコミでPM2.5(微小粒子状態物質)について大騒ぎをした。

実際には測定局数が基準を満たしていない地域が多く存在することが公表されたのを受けてマスコミが騒いだだけであり、測定は以前から続けられており、最近は車からの排気、向上からの排気などの浄化によって問題になる状態ではない。黄砂のひどい時にたまに環境基準を超えることがある、という状態であり、その基準値も十分すぎる値が設定されている。

結論としては気にすることは無いと言い切れる。

 

片岡秀雄氏

(阿品アカデミー会員)

12

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文化講座

年月日

    内        容

 講  師

参加者

H25.1.26

「色に関するいろいろ」その1

電磁波の中の380nm~700nmの範囲の光を人は目で見ることが出来(可視光線)、それぞれの波長の波が一定の色として感じる。

網膜には赤、青、緑に反応する錐体という細胞があり、それぞれの色に対して各錐体が反応し、脳へ送られて色を判断する。その色を見てどう判断するかは次の段階である。

あらゆる色は3原色の割合で決まる。この場合光の3原色と絵の具などの色材の3原色は違う。

田辺粛郎氏

(阿品アカデミー会員)

 

34

H25.2.9

「色に関するいろいろ」その2

色を見た時、人はどう感じるかはその人ごとに違う。 もともとはその人の肌の色とか自然界の中の色が基本であり、赤なら赤に対する感じ方は共通していることが多いが、30%程度は性別、年齢、人種などで違っているようだ。

色の組み合わせ方はファッション,商品開発,宣伝広告などの分野で非常に大きな力を持つ。

また、それぞれの色の持つ特性をうまく使って

医療分野や食品開発などにも色は使われている。

 

同上

34

 

 

 

 

文化講座

 年月日

   内       容

 講 師

参加者

H25.3.30

「三線に乗せて沖縄を語る」

沖縄の歴史を振り返れば、中国冊封体制時代、

3山統一後の琉球王国時代、島津藩進攻後の幕藩体制時代、明治以降の天皇制時代、米国の信託統治時代、日本国の沖縄県としての時代と様々な体制を経験しているが、戦後は一貫して日本国の前線基地としての色合いが濃い。近年は観光地、癒しの国といった宣伝が多いが沖縄県人としては複雑な思いをしている。内地の人にもわかって欲しい。 最後は三線に乗せて沖縄民謡を全員で楽しんだ。

中村盛博氏

広島・沖縄県人会

顧問

33

 

 

自然講座

年月日

    内        容

 講  師

参加者

H24.9.2

「ペンギンふれあい講座」

世界にいるペンギンは全部で31種類いるが最も大きなのは皇帝ペンギンであり、体重も70kg

になる。一方小さいのはアデリーペンギンである。ペンギンの不思議なところ、普段の生活の様子などの解説のあと、水族館から来てくれた2羽のペンギンと触れ合った。

幼児から大人まで大いに楽しんだ。

 

塚本博一氏

宮島水族館館長

三浦和伸専門員

飼育員 2名

113

 

自然講座

 年月日

    内     容

 講師

参加者

 

H24.10.27

 

「タナゴの繁殖について」

タナゴは日本には18種類が生息しているが、どの種も絶滅の危機にさらされている。

春産卵するもの15種類、秋に産卵するもの3種類に分かれるが、特に秋型の固体数が減少しており、この養殖に挑戦した。

試行錯誤の末発見して成功させたが、産卵後一定期間の低水温時期が必要で、その後、水温が上がるとトリガーが働き、幼生になることがわかった。

 

 

 

御薬袋 聡氏

宮島水族館

 

20

H25.4.27

「夢を追って」

若い頃、関西登高会に所属して登山技術をきたえられた。 定年後時間が取れるようになって、

外国の山に登るという若い頃の夢をかなえつつある。 ヒマラヤ、アフリカ、北米、インドネシアなどの45千メートル級の山に相当数のぼった。昨年はヨーロッパアルプスに上る機会に恵まれ、1月ほどの間、1週間ずつほど一箇所に滞在しながらいろいろな山に登った。

森川宏一氏

関西登高会

 

 

 

 

 

 

中国古典を読む

年月日

     内       容

 講  師

参加者

H.9~12

 8

「大学」講読

山根三芳氏(高知大学名誉教授)

延べ

128

H25.1

H25.8

 16回

「中庸」講読

同上

延べ