阿 品 ア カ デ ミ ー   

 

 

 

 

        会     報

 

 

 

 

          VOL.  9

       (平成21年9~平成22年8月)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         平成22年91

 

 

 

 

 

     阿品アカデミー 会報  VOL.9

 

           目   次

 

  御挨拶   会長  山下彰一      

 

1. 平成21年度  学習記録       

 

2.    平成21年度 講師一覧        11

 

3.    会員の単位取得状況         11

 

4.    平成21年度卒業証書授与者      12

 

5.    会計報告              12

 

6.    あとがき              13

 

 附) 阿品アカデミー会則(平成1491日改正)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           御 挨 拶 

                  会長 山下彰一

『日本は、国際競争の枠外に、外されている。』

 

 7月初め、韓国チェジュ島で行われた、「大統領召集の新地域発展戦略会議」

PCRD)という4日間缶詰めの会議に出てきました。すべて先方のご招待でしたが、議論の内容は、韓国の地方経済の発展のための新戦略に関わるもので、韓国政府の意気込みの程を、たっぷりと体感してきました。

 何よりも印象深かったことは、中央政府が、“地方の発展”の役割を重視し、「地方の発展こそが、韓国経済を支える」、という認識を前面に出していたことです。これまでの地方の開発は、日本と同じく、市役所など、地方の役所に任せ、限られた地域の土木事業などで済まされてきました。しかし、これからは、「地方の発展こそが国の発展を支える」との考えに基づき、地方に主体性を持たせ、中央政府がこれを積極的に支援し、一体となって国土の形成に当る

いまや、こうした考え方が、韓国全土に行き渡り、浸透しつつある、という印象です。

 

現状認識として、いまは、世界全体が動き、あらゆる場面で構造改革が進んでいる、と見るべきです。各国とも、変革の先頭集団に残るか、そこからずっこけてしまうか、こうした国際競争のまっただ中にいる、と考えて置かなければなりません。

 

日本はどうか。私には、日本は、まだ惰眠をむさぼっている、としか見えません。韓国だけでなく、中国も、インドも、東南アジア各国でも、昔のような‘おっとりとした会話’は、もはや聞こえて来ません。いまは、中央省庁の大改革を先頭に、企業も変わり、個人もその行動基準を変えつつあります。

韓国で、すでに変わったところは、例えば、日本の通産省(MITI)を考えてみましょう。日本では、この呼び名はかなり前から使われていて、今も変わっていません。実は、韓国にも同じ名前の省庁がありました。しかし、今回訪韓して、名刺を交換してみると、

            ‐1−

以前の通産省名は無くなっていて、いまや、Ministry of Knowledge Industry(知識産業省)に代わっているのです。どのような省庁に変わったか、想像できますか。(1)

 

世界の各国は、地域化(Localization)と世界化(Globalization)を同時に推進しようとしています。流れとして、その役割を地方が担う時代になろうとしています。韓国政府は、地域の発展を、地方政府に任せ切りにするのではなく、「各地域を、発展の主役と位置づけ」、各地域に主体性を持たせ、住民を各地域で動員し、発展の主役の座を地域に譲ろうとしています。中央政府は、これを全面的に支援し、住民や地域の役割を前面に出し、トータルとして、これまで以上の成果を挙げようとしています。

 

ひるがえって、日本の地方経済の実態を観察してみると、中央の首都圏や関西、東海の3極を除けば、どこも沈滞ムードが漂っています。地方は、高齢化が進み、学卒者の就職先も無く、昔のような活気がありません。これは、地方の責任なのでしょうか、地方の努力不足がそうさせているのでしょうか。

私には、そうは思えません。中央政府がやるべきことは沢山あり、地域の住民にもこれに協力して、共に豊かな社会を再構築する意思と行動力はあるはずです。現在は、まだ誰もが言い出さないことが問題です。あるいはその方向が見えないのかもしれません。

前段の韓国の例は、日本社会が前例とし参考にすべき方向のいくつかが、これに含まれていると思われます。中央政府にその知恵がなければ、地方の特定地域において、その試みを開始する、勇気あるグループが生まれる事を願わざるを得ません。

 

 

 

 

 

 

 

 

           −2―

阿品アカデミー  学習記録

平成21年度

 1. 講演会

2.    アジア講座

3.    環境講座

4.    自然講座

    天文講座

    生活の中の天気

    植物講座

 5. 国際理解講座

5.    文芸講座

    短歌を作らない人のための短歌講座

    作詞入門講座

6.    文化講座

    中国古典を読む会

7.    健康講座

8.    生活科学講座

    広島県の研究所紹介

    家庭菜園の野菜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             −3

講演会      山下彰一会長(広島大学名誉教授)

年月日

   内       容

講  師

参加者数

H21.8.31

「創造産業の育成とこれからのまちづくり」

成熟した社会を支える産業として今後期待されるのはこれまでの1次〜4次産業に代わって芸術、スポーツ、映像、健康などに関連した分野である。

山下会長

 19

H22.8.22

「私的、廿日市活性論」            

細川 匡氏

廿日市商工会議所会頭

 

 

アジア講座    山下彰一会長(広島大学名誉教授) 

年月日

   内       容

講 師

参加者数

H22.4.10

「今、中国でなにが起こっているか」

〜西部大開発政策をめぐって〜

ケ小平の「先富論」の下、沿岸部は大発展を遂げた。立ち遅れた内陸部の開発にむけた政策が2000年以降本格化してきて、西部地区でも10%

を超える経済成長が続いているが、沿岸部との格差の縮小にはなっていない。また、最近では

中国奥地での気象変動よって、降水量が減ってきていろいろな問題も起こっているようである。

山下彰一(広島大学名誉教授、

復丹大学顧問教授)

 22

 

 

            ―4−

環境講座     山崎 傑講師(阿品アカデミー会員)

年月日

   内       容

講 師

参加者数

H21.11.28

「日本の森林の役目と課題」現在の日本の森林の多くは過熟林となっており、本来森林が備えている環境に対する役目が十分に果たされていない。材木にするまでの経費が輸入材に比べて

高いからである。林業そのものが成り立たなくなっている。 手入れが十分にされないと材木にしたときに良質なものにならない。

山崎 傑氏

 13

 

自然講座   天文講座    佐藤健講師

(元広島市こども科学館職員,東亜天文学会評議員)

年月日

      内       容     

参加者数

H21.9.26

「国際宇宙ステーションの役割とスペースコロニー建設実現のための研究の現状」

 8

H22.1.16

 

「貴方の星座は何ですか」

メソポタミヤが発祥の地であると言われている星占いは、インドや中国でも古くからある。 基本は太陽、月、星や星座の関係から吉凶を占うものである。中には科学的根拠のある場合もあるが、

ほとんどは単なるこじ付けや迷信に基づく。

もともと、占星術が作られた数千年前と現在とでは地軸の歳差運動によって北極星も、星座の位置もかなり変わっており、意味を成さなくなっている。

 13

H22.7.31

夏の夜空を楽しむ  金星、土星を中心に

 

 

 

           −5−

自然講座    生活の中の天気  大平眞二講師(気象予報士)

年月日

      内       容

参加者数

H21.10.17

「今年の夏はどこへ行った?」

今年の梅雨から夏にかけての天候は異常であった。低温,多雨で日照時間が極端に少なかった。

8月下旬からはなんとか持ち直して稲の生育はかろうじて守られた。 しかしながら、この程度の異常は何年かに一度はあるものであり、気象の誤差の範囲と考えるべきである。

 13

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             −6−

 

自然講座    植物雑話あれこれ 石田源次郎講師

(広島市植物公園園長)

年月日

      内       容

参加者数

H21.9.26

「植物の擬態」動物に食べられないための擬態、昆虫に花粉を運んでもらうために植物がとっている巧妙な手段。

特定の昆虫の、それも雄だけを呼び込むためにその種のメスそっくりな形をしたものまで、人の技術を総動員しても不可能なことを植物がやっている。

 23

H21.10.24

「こんにゃく学入門」こんにゃくは東南アジアからインドにかけて分布しており、その種類は200種程度が知られている。

食用にしているのは日本のみとみられる。通常は34年生の根塊を食用にするが、5,6年になると花を咲かせる。この年には葉は出ずに花芽のみが伸びてきて大きな花を咲かせる

 22

H21.12.26

「絶滅危惧植物と温暖化」 現在、世界中で多くの植物が絶滅している。 人間による自然の破壊、埋め立て、盗掘なども大きな原因であるが、地球の温暖化も原因の一つであろう。植物は生息地の気象条件が変わればある程度は年年移動もできるが、気候の変化が激しすぎれば、追いつけなくて枯死する。特定の植物を餌にしている動物や昆虫も多く存在し、その植物がなくなればそれらの動物も絶滅する。

 18

 

 

 

 

 

           −7−

国際理解講座   多文化共生ってなに?  リサ・ジャン講師

                   (廿日市市国際交流員)

年月日

      内       容

参加者数

H22.1.23

日本ではまだ少ないが、アメリカやニュージーランドでは文化の違った人たちが多く共生している。その場合になすべきことは何なのか。国や自治体としてとるべき政策、個人が行うべきことなど日本にはまだなじみの薄いことが多い。

 18

H22.2.20

中国の年中行事の紹介とランタン作り。

中国では新年は春節として旧暦の正月に祝う。大晦日の夜中、元旦に移る時間に祝いの膳をとる。日本と同じように吉とか福とかのことばと同音の食材を用いたり。餅も食べる。

そして正月には祖先の墓参りもする。

端午の節句は屈原の故事をもとにしたものであり、粽を食す。

ランタンは正月に明かりをともして持ち歩く。最近は自分で作る人が減り、街で買ってくる人が多い。

 21

H22.3.27

 

「台湾の食文化」

台湾は、歴史的に見ても原住民以外に福建省、広東省、日本、戦後には国民党の北京など北部の人々など多種の民族、集団の影響が台湾文化に影響を与えており、台湾食とはなにかという定義は難しい。四川料理、広東料理、北京料理、日本料理などが渾然一体となっている。中国では食さない刺身も食べる。

ただ、本家の味とは少しずつ違っていることもあるのではないか。

台湾人は外食が多く、日本のように家庭で料理して、食べることはほとんどない。朝から晩まで食堂はいたるところに開いており、

そこへ行って食べる。

   11

           −8−

 

 

H22.4.17

「着物のルーツ、中国の伝統衣装」

着物のルーツは古く、夏,殷といった紀元前2000年まで遡れる。

当時の衣装は上半身用の衣と下半身用の裳に分かれていた。

春秋時代にはそれが一体となったワンピースに変わり、「深衣」の形ができた。これらは全て時の為政者の公式な場での衣裳という位置づけであり、その後の征服者である漢民族、蒙古族,明族などの時代にはそれぞれの特徴ある衣裳となった。

11

 

 

文芸講座  

 短歌を作らない人のための短歌の話  本田公韶氏

                   (短歌結社 真樹同人)

年月日

      内       容

参加者数

H21.12.5

 

短歌を作る基本は「何か」に感動することである。普通の人でも近親者の死とかに直面すれば感動するが、短歌作りに慣れた人は日常の生活の中にもなんらかの感動を感じることができる。

まずは感性を磨くことが肝要であるが、ともかく短歌をつくってみて、自分で推敲し、他人にみてもらって修正し、といった訓練によっても使える言葉を増やし、感動につなげることができるようになる。

 17

 

 

 

 

 

 

             −9−

  作詞入門講座     寺本ひろみ氏(阿品アカデミー会員)

年月日

      内       容

参加者数

H22.5.24

「演歌を聴きながら学ぶ作詞のイロハ」

演歌は人に愛唱されてこそ意味があり、そのためにはいくつかの条件がある。 まずは作曲しやすく、歌いやすいためには字脚を揃えることは第一条件である。

演歌が出来るときには詞先の場合と曲先の場合がある。どちらが良いというものではなく、双方がマッチしたときには良い曲が出来る。

27名

H22.6.19

演歌を作詞するときの最初の仕事はなんらかのドラマを作ることである。 ドラマが出来ればその状況を設定する。主人公の性別、年齢、周囲の状況など細かく設定するほど詞は書きやすくなる。

詞が出来れば推敲が始まる。最初の詞と完成した詞では同じフレーズが一つもないこともありうる。

作詞するときの技術的な手法もいろいろあり、擬人化、詩的表現、

比喩、倒置法、体言止め、造語、は良く使われる。

決め手は幕開けフレーズ、ウリフレーズ、サビフレーズである。

25名

 

中国古典を読む会     山根 三芳講師(高知大学名誉教授)

年月日

      内       容

参加者数

H21.9

H22.8.17

「論語」講読

延べ 23回

延べ

 

 

           −10−

健康講座   病気を追い出す栄養学   枦山公一氏(栄養学研究家)

年月日

      内       容

参加者数

H21.10.10

3大栄養素以外にも、人間は46種類もの栄養素をバランスよく摂取しなければならない。これらの要素は各種の食物にごく微量に含まれており、偏食が最も良くない。 これらは一度にたくさん食べても,害になるか排泄されるかである。

 18

H21.11.25

現代日本の食生活には大きな問題が3点ある。

一つは食の欧米化である。肉食が増え、野菜の摂取量が減っている。その野菜も促成栽培や各種の目的での品種の改造によって、各野菜がもっているべき本来の養分が昔に比べて非常に少なくなっている。二点目はレトルト食品の蔓延である。これらの食品は砂糖の使用量が多かったり、防腐剤の多様であったり、塩分過多の原因になったりする。 次に特に子供に多い朝食抜きの食生活である。

また、現代生活はストレスがたまり易い社会であり、健康を害する原因になっている。

 16

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            −11−

生活科学講座  広島県の研究所   節家孝志講師

(広島県立総合技術研究所所長)

年月日

      内       容

参加者数

H22..2.27

 

「広島県立総合技術研究所の紹介」

広島県には西部工業、東部工業、食品工業、農業、畜産、水産、林業、保健環境の技術センターがあり、252名の体制で地場産業の育成を目的として各種の研究を実施している。

企業との共同研究も行い、各種の特許も保有して、各社にと買ってもらっている。

 11

H22.3.20

 

「林業技術センター」の紹介

日本の林業は外材に押されて衰退しているが、広島県内には戦後植林され,伐採時期にきている森林が多く存在し、これをなんとか競争力のある森林にするための研究を行っている。

低コストの林業を成立させるための路網計画や、機械化林業を

支える機械類の開発など、県内の地形や森林状態に合わせた林業のありかたを研究している。

 13

H22.4.24

「畜産研究センター」の紹介

広島県の畜産業は乳用牛、肉用牛、豚、採卵鶏、ブロイラー、養蜂があるが、採卵鶏以外はジリ貧状態である。

飼育方法や飼料生産などの改善によってコストを下げるための研究も行いつつ、肉用牛を中心に研究している。比婆牛、神石牛という著名種があるがこれを統合して広島牛としてブランド化しつつある。良質な牛肉を生産するためには数多くの交配により、良い種牛を作り出す必要があるが、何分時間がかかることであり、遺伝子操作を含めて時間の短縮化を図っている。

 11

            −12−

年月日

      内     容

参加者数

H22.5.29

「水産海洋技術センター」の紹介

世界的な水産物への依存度の高まりにより、水産物の絶対量の減少と、国同士の競争の激化もあり、日本の水産業は次第に減少している。そのような中、広島県の水産業としては牡蠣を中心に養殖漁業の占める割合が大きくなっている。研究所としては、より効率的、魚の病気対策、コストを下げる方法を中心に研究している。

13名

H22.6.26

「農業技術センター」

食料自給率が年年下がっている日本、その中でも広島県は大規模農業が取り入れにくい地理的条件を抱え、苦戦している。当研究所は新しい技術によって広島ならではの農業の開拓、情報提供などによる農村の活性化、産業界や大学との共同による先端技術の開発などを担っている。省力化農業(工業化)、田を畑に変換する方法の研究、水耕栽培の研究などである。

 

 7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           −13−

 

       家庭菜園の野菜    塩田喜彦氏(会員)

年月日

      内       容

参加者数

H22.5.15

元々は野生の植物であったものを、品種改良によって人が食するのに都合よく変換したものが野菜であって、その原産地は世界中である。東南アジア、南米などが代表的な所である。

日本で食している野菜も歴史上いつか外国から入ってきたものがほとんどである。それらの野菜の植物学上の位置を知ることは、栽培するときの大きな要素であり、知っておく必要があろう。

18名

H22.6.5

上手に野菜を育てるための最初の関門は土作りである。

深く、よく耕すこと、軟らかい水はけの良い土、栄養分が十分にあること、土の酸度調整が大きい。但し、肥料はやりすぎないことが肝要であり、やたら施肥すればよいというわけではない。酸度は植物の種によって適切酸度が違うので、注意が必要である。また、連作を嫌う種類は多く、つねに畑の何割かは休ませる必要がある。 

21名

H22.7.17

43種類の家庭菜園で作れる野菜の育て方詳論

19名

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           −14−